イルカはどんな動物なの?

「イルカ・クジラ図鑑」でわかるように、イルカにはたくさんの種類がありますね。大きさも、泳ぐ速度も、それぞれ違っていますし、まだ、よく分かっていないこともたくさんあります。

イルカはどんな動物か、まず、その全体像をとらえてみましょう。

イルカを食べるイルカもいる!

マイルカ科に属するシャチ、オキゴンドウ、ユメゴンドウなどは、ほかのイルカを食べることもあります。

イルカの大きさ

イルカは、コガシラネズミイルカやラプラタカワイルカのように体長1.3メートル、体重30kgぐらいのものから、シャチのように体長10メートル 体重9トンのものまで、いろいろな種類がいます。このドルフィンキッズでは、主にイルカについて紹介しています。もしクジラ類を含めれば、もっと大きなものもいます。

イルカが泳ぐスピード

イルカが泳ぐスピードは時速6~15km、小型のイルカ類の瞬間最高時速は55kmで、これは自動車と同じくらいのスピードで泳ぐことができるということです。

驚いたことに、イシイルカというイルカは、体がまるまるしているのに、時速55キロの速いスピードで泳ぐことができます。

一般的に川にいるイルカであるカワイルカ(インダスカワイルカとガンジスカワイルカ)は、普段はゆっくり泳ぎます。しかし、すごく速いスピードで泳ぐこともできます。

イルカの行動圏

イルカの行動範囲は大変広いものです。沖合にいるイルカは一般的に毎日の移動距離も長く、スジイルカ類で平均55km、最高165kmです。イルカは毎日たくさん泳いでいるのですね。

イルカたちには人間のように国境がありません。地図もありません。どうして迷わずにいられるのでしょう。

それは、地球磁場(*)を利用して、自分のいる位置がだいたいわかるからだと言われています。渡り鳥も地球の磁場を利用して、広い空を移動しています。

(*)地球は大きな電磁石のようなものです。磁石の周りには磁力が働きますが、そのような空間を磁場と言います。多くの生物は、地球が持つ磁気(地磁気)を感じることができます。クジラやイルカ、ウミガメなどの海生動物や渡り鳥は、地磁気によって方向を定めて行動しています。コンパスの針が南北をさすのも、地磁気のせいです。私たちもコンパスを使って地磁気で方向を定めていますね。地磁気は、絶えず変化していますが、磁気嵐やオーロラが発生した時は、特に激しく変化します。

イルカの潜水能力

イルカ類の大部分は、水面から100メートル以内の深さのところで過ごすことがほとんどです。でも、海のもっと深いところまで潜る(もぐるールビ)こともできます。

ヒレナガゴンドウは少なくとも600メートルは潜ることができると考えられています。

クジラには、もっとすごいものがいます。マッコウクジラは少なくとも1100メートル潜水でき、なんと3000メートルまで潜ると考えられています。

イシイルカは、普段は500メートルか、それ以上の深いところで餌をとります。イルカたちはそんな深いところで目が見えているのでしょうか。

イルカはどのくらい目が見えるのでしょう

川に棲むカワイルカ類は、目が小さく、それほど目がよくありません。それは川がにごっていて、目がよくてもあまり役にたたないためと考えられています。

でも、他のイルカは、空気中でも水中でもものを見ることができる目を持っています。
ただ、数メートルより深い場所では、海水がフィルターとなり、物は全て青か緑色に見えます。

イルカの目の構造を調べた学者によると、イルカの目は、暗い所でものを見るのに優れ、すばやい動きも見逃さないそうです。また、イルカはある程度、色を感じることもできるのではないかと言われています。

エコーロケーション(反響定位)

海がさらに深くなると、海の中に光が届かなくなり、真っ暗闇になります。そういう中で、イルカたちは、どうやって餌をとっているのでしょうか。

じつは、イルカは、自分で音を出して、その音がものに当たって跳ね返ってきた反響をとらえることができます。その反響音から、イルカは、ものの位置や形、大きさ、材質までも知ることができます。これは、エコーロケーションと呼ばれています。この能力があるため、イルカやクジラは、真っ暗闇な深海でも早いスピードで泳いで餌をとることができるのです。

●動画で音を聞いてみよう!

※最初に英語で話す説明が入っています。途中からイルカの声が聞こえるよ!


 

イルカの体

イルカの体は、このように速く泳ぎ、深く潜水できるようになっています。

イルカの体は流線形で、スピードを出しやすい形をしています。体はつるつるで触るとゴムタイヤのように弾力性があり、水の抵抗をできる限り受けない皮膚になっています。また、イルカの皮膚は、じつによく伸びたり縮んだりします。イルカが泳ぐ時、水はイルカの体に沿って流れますが、イルカの体の後ろ半分のところでは、その流れが乱れて水の渦ができます。この水の渦は、スピードを大きく鈍らせる原因になります。ところが、イルカの皮膚は、その渦が起こるところがへこんで、そのへこみの中に渦をすい取って消してしまいます。その他、イルカが筋肉を縮ませて、皮膚の表面にでこぼこしたしわを作ることが分かっています。そして、そのしわがイルカのスピードを出しやすくしているといわれています。

深く潜るとイルカの肺はつぶれますが、胸郭に影響がないようにできているため、肺がつぶれても死ぬことはありません。その代わり、筋肉と血液には酸素をためておけます。

イルカの呼吸

息継ぎは口でするのではなく、噴気孔と呼ばれている鼻孔を開けて息を吐き、またすぐに鼻孔を閉じます。

一日の食事量

クジラ・イルカ類が1日に食べる量は、体重の1.5-14%の範囲で、個体差が大きいと考えられています。

群れの大きさ

群れの大きさは、カワイルカの数頭から、海にいる多くの種類に見られる数千頭の規模まで様々です。大きな群れでいると、1頭が獲物を発見したときや、敵を発見したときに、他の仲間に知らせて、群れの皆で獲物をとったり、敵から逃げて群れの全員が敵から逃げたりすることができます。

赤ちゃんイルカの誕生

イルカは哺乳類なので、卵ではなく、母親そっくりの赤ちゃんが生まれてきます。妊娠期間は10-16ヶ月で、ふつう、生まれる赤ちゃんイルカは1頭です。

小型のハクジラ類の大部分は尾っぽから生まれてきます。

赤ちゃんが生まれると、お母さんは数カ月―ゴンドウクジラ属などの種類は何年も―お乳を飲ませて、子育てします。種によっては母親が子供を背中に乗せて泳ぐことがよくあります。

野生イルカの平均寿命

平均寿命は種類によって大きくちがいます。カワイルカ類やネズミイルカ類は短めで、20年(10-15年という報告もあります)、他の種は40-50年、シャチなどは長く生きるほうで70年ほど生きると言われています。(ただし、データによって、少し違いが見られます。)

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