人間に会いに海辺にくる野生のハンドウイルカ

モンキーマイア

イルカが自分から浅瀬にきて、人々に近寄ってくる。

モンキーマイアのイルカたち

 
 オーストラリアの西海岸にモンキーマイアというところがあります。1960年代の始めに、漁師の夫婦が海で野生のイルカに魚を与え、そのイルカがモンキーマイアの浜に来るようになったと言われています。そのイルカにはチャーリーという名前がつけられたそうで、このチャーリーがモンキーマイアで最初に人間と交流をもったイルカだと言われています。

モンキーマイア

レインジャーが浜の人にイルカに対してやってはいけないことを説明する。

 人間と出会った時、チャーリーはすでにかなり高齢だったと言われていますが、漁師が魚を獲るのを手伝ったとか、毎朝、桟橋の下に魚を追い込んで釣り人を喜ばせたとかいう話が残っています。しかし、書き残された記録がないため、確かなことはわかっていません。チャーリーの死因についても、老衰、漁師に殺された、食べすぎで死んだ等、いろいろな説があります。

モンキーマイア

レインジャーが用意する少しの魚だけがイルカに与えられる。

モンキーマイアのホーリーフィン

ホーリーフィン:子どもたちをつれて、いつも浜に来たイルカ。

 チャーリーが人間と交流してから、約10年後、ウィルフ・メイスン夫妻がモンキーマイアの浜で、キャラバンパーク(トレーラーハウスの駐車場)を経営することになりました。二人はよく海に出かけては、イルカに魚を投げてやりました。そして、とうとうイルカたちが、メイスン夫妻の船についてきて、自分から浜を訪問するようになりました。これが、モンキーマイアのイルカの群れが、母子代々、浜を訪れるきっかけになりました。

モンキーマイアのニッキー

ニッキー:ホーリーフィンの娘。ホーリーフィンの死後も浜を訪れ続けた。

 今では、観光客が野生のイルカにエサを与えることは、禁じられています。浜には立派な情報センターができ、レインジャー(保護監視員)が観光客のうちの何人かに、決まった数の新鮮な魚を渡し、レインジャーの監視のもとに、イルカに魚を与えることが許されています。しかし、浜を訪れるイルカたちは魚を目当てに浜に来ているわけではなく、群れを作って野生の生活を続け、自分で魚をとって生活しています。魚をもらえない早朝にも、何頭かの野生のイルカが、毎日、観光客に会いに桟橋へやってきます。

 これまでどんなイルカたちが浜を訪れ、モンキーマイアにどんなできごとがあったのかについては、イルカのおすすめ本で紹介している「イルカのくる浜」という本にくわしく書いてあります。

モンキーマイア

モンキーマイアの桟橋と野生のペリカン。ペリカンはときどきイルカから魚を横 取りしようとする。

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